さらっと音楽理論~コードの基礎 [習得編]
※読んでいただく前に「はじめに」に目を通してください^^
「コード」習得のポイント
今回は「コード」についてです。
長々と解説させて頂きますが、ここで一番伝えたいポイントは、
- まず理屈無抜きにサックスで「ダイアトニック・コードの分散和音が吹ける」ようになることが大事
- 1つのキーで(サックスのドからはじまるドレミファソラシドで)ダイアトニックで出てくるコードの種類が全部吹けるようになったら、今度は12のキーでそれぞれ吹けるように練習する
(1)まず理屈抜きにサックスで「ダイアトニック・コードの分散和音が吹ける」ようになることが大事
(2)1つのキーで(サックスのドからはじまるドレミファソラシドで)ダイアトニックで出てくるコードの種類が全部吹けるようになったら、今度は12のキーでそれぞれ吹けるように練習する
この2点です。
このポイントを頭に置いて、「ダイアトニック・コードって?」など思いながら読んでみてください。
アドリブ演奏には「コード」の知識が必要
音楽演奏~特にポップス、ジャズのアドリブ演奏には「コード」の知識が必要になります。
…といっても、実際はプロのスタジオミュージシャン以外は、「ペンタトニックスケール」「ブルース・スケール」の2つのスケールをおぼえていればこの2種類のスケールだけで、キーさえ外れなければなんとなくアドリブをとる事は出来ます。
この2つのスケールでどう歌い、どう盛り上げるか、は有名ミュージシャンのアドリブを聞いてコピーするのが一番の近道です。
代表的で多くの人が参考にするサックス・プレイヤーのアルバムで言うと、「デイビッド・サンボーン David Samborn」の最初の頃のアルバムや「メイシオ・パーカー Maceo Parker」の演奏全般です。
サンボーンは特にブルージーな演奏の見本、メイシオは、ペンタトニック・スケールとはこう使うんや!的アドリブ見本に最高です。
これは良く言われる事ですが、1つのスケールだけでいかに聴かせるか、もとても重要でアドリブの「歌心」を鍛えられます。
これだけでもかなり奥が深く終わりがない事なのですが、まずは「ペンタ(トニック)」と「ブルース」を使い慣れる事こそ重要かも知れません。
テキトー演奏力
後々どんなジャンルに進むにしても、「なんとなくそれっぽく聴かせることができる」テキトー演奏力(良い意味で)は必要です。
この「テキトー演奏力」を発揮するには、曲全体が見えていなければいけません。
曲全体が見えながら演奏できる力、とは「あ、そろそろサビだから上の方の音に上がっていくか」「サビ来たらピーっ!っと高音伸ばすか!」のような調子で周りの空気を読みながら演奏するクセの事です。
トニックやサブドミナント…などは置いといて、「ここがサビ」「ここがAメロ」「この曲せつなく吹いたが合うな」「この曲は、いきなりサビから始まっておもしろい」…
こんな事をおおまかに感じながら、カラオケでそれっぽい歌を歌うような感覚で、なんかテキトーに吹く度胸がついた…これがまずは重要なのです。
現代は大昔の音楽環境と違って、みんなカラオケを歌います。
また、Jポップにありとあらゆるジャンルの音楽要素が含まれていて、それに私たちは小さい頃から馴染んできています。
「サックスでアドリブ」というチャンネルに頭を切り替えてしまって、今までの自分の音楽体験を信じないのはとてももったいない事です。
「理屈は分からんでも、テキトーに歌えるはず」
まずはこのテキトー演奏力を、ペンタとブルースフレーズを使ってトライしてみてください。
…話が横道にそれましたが、
ジャズのスタンダードでアドリブ
ジャズのスタンダードでアドリブとなると、どうしてもペンタトニックやブルーススケール1発では一本調子になってしまい、ジャズっほいアドリブにはならないのです。
(ペンタとブルーススケールだけ徹底的にやりこんで、この2つを使って自在にすべてのキーで早いパッセージを吹き倒せれば、モダンジャズ的なアドリブは可能だと思います)
そこで、ジャズスタンダード曲をするにはコードとコード進行の基本知識が必要になってきます。
ジャズっぽいアドリブを目指すのに、一番簡単な方法は、「譜面に書いてあるコード進行通りに、そのコードの分散和音をつなげて吹く」ことです。
かなり幼稚なアドリブにはなるかも知れませんが、ペンタトニックスケール&ブルーススケールの1発アドリブと組み合わせて吹けるようになれば、なんとかサマになります笑
その為には、
- コードにどんなものがあるか
- 各コードがどんな音でできているか…
この2点を一刻も早く体に覚えこませましょう。
「コード」に関する基礎の基礎
コードは「音の響きを作るかたまり」で、通常3音や4音で構成されています。
この3音構成のコードと4音構成のコードは文句なく暗記してください。
最初は、コードごとに使える音をどんどん変えながらアドリブする、という事はできないので、まずは最低限、ダイアトニック・コードの種類とその響きを覚えるのが良いと思います。
(→ダイアトニックの項)
コードネーム
コードは、以下のような記号で表現します。
コードの種類は決まっているのでおぼえてしまうと楽です。
コードネームを表現する時は、「Cメジャー」「Dマイナー」などアルファベットで音を呼ぶ事が多いので、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」をアルファベットで呼ぶくせをつけた方が良いです。バンドなどでは、それぞれの楽器の「ド」「レ」「ミ」‥が違うので、アルファベット読みで伝え合うのが一般的です。
例えば、ピアノとアルト・サックスで同じ音を出したい時、「レの音出して」と言われると、ピアノの「レ」は「D」、アルト・サックスの「レ」は「F」(アルト・サックスはEフラットを「ド」にしている楽器)になってしまい、違う音を出す事になってしまいます。
「Dを出して」といわれれば、すぐに同じ音を出す事ができます。
- ピアノの「ド」→「C」
- ピアノの「レ」→「D」
- ピアノの「ミ」→「E」
- ピアノの「ファ」→「F」
- ピアノの「ソ」→「G」
- ピアノの「ラ」→「A」
- ピアノの「シ」→「B」
となります。
ピアノの、という書き方をしているのは、先程の例えの通り、楽器によって基準の音が違う為です。
アルトサックスの「ド」は、ピアノの「ミ・フラット」=「Eフラット」です。
曲の練習に楽譜を使う場合に、ピアノの楽譜しかない曲を練習する時は「移調」して使います。(→移調の項)
コードには、以下の種類がありますが、その前に大まかなルールを記します。
コードのルール
- 「7」(ただのセブンス)は、4度目の音がフラットするのが基本。
「△7」(メジャー7th)もしくは「m△7」(マイナー・メジャー7th)という記号がついた時は4度目をフラットさせない。 - マイナーは3度目の音がフラットする。4和音のマイナーは、3度目と4度目がフラットする。
- その他の記号は、それぞれどの音がフラット(まれにシャープ)するか決まっているので、決まりを暗記する。
各コードの種類と構成音のきまり
- [マイナー、マイナー6th,マイナー7th]
度の音をフラットした和音。
6thならルート+3度、5度、6度の構成。7thならルート+3度、5度、7度フラットの構成。 - [メジャー、メジャー6th,メジャー7th]
6thはルート+3度、5度、6度の和音。
7thはルート+3度、5度、7度の和音。 - [オーギュメント]
5度をシャープした和音。
ルート+3度+5度シャープ - [ディミニッシュ]
3度と5度をフラットした和音。
ディミニッシュ7thは、さらに7度フラットをフラットした和音。 - [マイナー7thフラット5(ハーフディミニッシュ) ]
名前の通り、マイナー7thの構成に5度をフラットさせた和音。 - [サス4(フォー)]
SUS(サス)はサスペンディッド(吊り上げる)の意味で、通常の3度を4度に吊り上げた和音。ルート+4度、5度、(7度フラット) - [トライアド]
3和音のこと。
上記のコードが基本で、さらに「テンション」を加えたコード(9th,11th,13rd)等があります。(→テンションの項)
高度なコード
この他にも、「分数コード」と呼ばれる、
(1)ベース音にコードをのせたもの(コード構成音以外のベース音を使う場合)
(2)コードにコードを重ねたもの(アッパー・ストラクチュア・トライアドの項)などがあります。
…といろいろ書きましたが、この中でまずは「ダイアトニック・コード」を優先して覚えます。
ダイアトニック・コード
ダイアトニック・コードとは、「ドレミフアソラシド」の上に3音または4音を重ねてできる各コードのことです。
ここでは4和音を取り上げます。
この和音、1つ1つコードネームが違いますね。それぞれに大事な役割がありますが、ここでは、「ダイアトニック・コードは、この7種類のコードのこと」
という事だけ憶えてください。
これらは、キー(ここではC)が変わる事で、アルファベットの部分は変化しますが、コードの種類は変わりません。
もう1度、この「ダイアトニック・コード」を見てみると、同じ種類のコードもいくつかあります。
出てくるコードの種類は大きく分けて4種類
- △7→メジャー・セブンス
- m7→マイナー・セブンス
- 7→セブンス
- -7(♭5)→マイナーセブンス・フラット・ファイブ(ハーフ・ディミニッシュとも言います)
冒頭に書いた、まず理屈無抜きにサックスで「ダイアトニック・コードの分散和音が吹ける」ようになることが大事。
これを、まずこの4種類のコードで練習します。
(※この練習の前に「必ず必要なスケール」を習得しましょう)
分散和音の練習法
(1)メジャーセブンス △7
メジャースケール(イオニアン・スケール)の1,3,5,7度を並べると、メジャー7thの分散和音になります。
これを吹いてみます。
(※書きかけです)