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スターリング・シルバーと純銀と洋銀の違い。銀色のサックスなどの楽器の銀の純度や音の影響は?

│ 2018年6月10日 │ カテゴリー: 中古サックスの魅力

楽器やアクセサリーでよく「solid silver/ソリッド・シルバー」や「sterling silver/スターリング・シルバー」といった刻印を見かけますよね。

また、フルートなんかでは「nickel silver/ニッケル・シルバー」製というモデルを多く見かけたりします。こういったアクセや楽器を見るたび「見た目は銀色だけど、これって銀でできてるの?違うの?」と疑問に持つことはありませんか?

今回はこういった「ややこしい」シルバー製品について解説してみます。

目次

スターリングシルバー/925とは

スターリング・シルバーというのは、簡単に言うと「銀と合金を混ぜた」シルバー製品のことです。
ちなみに「ウィキペディア」では

“スターリングシルバー (sterling silver)は、銀の含有率925パーミル(92.5パーセント)、割り金(製品強度を上げるための金属)75パーミル(7.5パーセント 主に銅。 他アルミニウム少々)の銀合金である”

と書いてあります。

つまりスターリング・シルバーとは「92.5%の銀と7.5%のその他の金属」を混ぜた銀製品の事です。そして「シルバー製品」「純銀製」と呼ばれる多くのアクセサリーがこの「スターリング・シルバー」製です。

「じゃあスターリング・シルバー製は本当の銀製じゃないのか」
「純銀より質が劣る混ぜ物って事か」
と思われる方も多いでしょう。

でもこれはちょっと違っています。

銀製品の強度を増すため他の金属を混ぜる

わずかに他の金属(銅、アルミ、ニッケルなど)を混ぜる理由は、『銀だけだと柔らかすぎてアクセサリーや楽器にした時、すぐ曲がってしまったりへこんでしまったりするから』なんです。

この事は、硬めの粘土でつくったアクセサリーを想像してもらうと分かりやすいと思います。
他の金属を混ぜる事で、適度な硬さになり、加工に都合が良いのです。

これは金も同じです。

参考→ゴールドプレートや金素材のサックスや管楽器は何がいいの?素材や音について~24金や18金の違い~

確かに純銀(銀無垢・銀100%)の方が「銀そのものの価値」「貴金属としての価値」としては上ですが、特に楽器で銀素材を使う理由は、貴金属としての価値を高める事が目的ではなくて「銀の特性を生かして音色をよくする」ことが目的なので、音が良ければ銀無垢にこだわる必要もありません。

銀と他の金属を混ぜて個性をつくる

また、各楽器メーカーで「純銀よりも良い響き・鳴り」を研究した結果、あえて銀や金と他の金属を、独自の割合で混ぜている事も多いです。

たとえば、サックスの有名国産メーカー「ヤナギサワ」では、純銀製サックスの素材には「スターリング・シルバーの92.5%より高い純度」の銀と「ある金属」を混ぜる事でヤナギサワ独自の銀製サックスの響きを作りだしているそうです。
(これをヤナギサワでは”ソリッド・シルバー”、つまり純銀製としています。)
この混ぜ合わせる他の金属(合金)は、メーカーによってまちまちです。

銅・ニッケル・アルミなど金属の種類によって銀製品の色や輝き・響きが変わってくる為、加工メーカーでは「合金として何を混ぜているか」は企業秘密にしている場合がほとんどです。
これは楽器の場合だけでなく、アクセサリーなども同じです。

銀製品にまつわるいろいろな呼び方を整理してみよう

「銀製品には純銀よりもスターリングシルバー製が多いのはわかったけど、他にも”なんとかシルバー”って刻印あるよね…?スターリング・シルバー以外は銀製品じゃないの?」

こんな疑問を持たれる方も多いと思います。
そこで今度は、スターリング・シルバー以外の銀製品にまつわるいろいろな呼び方、表記を整理してみましょう。

ソリッド・シルバー/純銀・銀無垢

まさに銀100%、のものを指します。
ですが、楽器の世界で「ソリッド・シルバー」と刻印されているものは必ずしも「銀100%」ではありません。これはさきほど述べた理由があるからです。
やはり純銀・銀無垢は柔らかすぎるのです。

つまり楽器の世界では特に「スターリング・シルバーより純度が高い」という意味で使う場合が多いです。ちなみにこいった場合、各メーカーは銀の割合を「銀●●%」という言い方ではっきりと割合を明記しません。

これは先ほども説明したように、銀と他金属を混ぜる割合は、そのまま銀製品の色や響きの個性となっているので、「企業秘密」扱いしている為です。

銀の割合によって独自の名前がついているもの

ブリタニアン・シルバー/958

これはスターリング・シルバーより銀の割合が高い上、その割合をはっきり明記しているケースです。95%の銀と 5%の他金属を混ぜた銀製品の事です。

アルゼンチウム・スターリング・シルバー

これは銀の割合はスターリング・シルバーと同じです。
スターリング・シルバーとの違いは、ゲルマニウムを混ぜている点です。
この事により銀特有の変色しやすさを防いでくれます。

メタライズド・シルバー/997

アルタスというメーカーのフルートに使われています。銀の純度が99.7%のものです。

コイン・シルバー/900

古いコイン(主にアメリカの古いコイン。2013年にアメリカの法律でコイン加工は禁止された。)を溶かして加工するもの。銀の純度は90%です。
インディアン・ジュエリーに多く見られますが、楽器の中にも古いムラマツのフルートなどはコイン・シルバー製のものがあります。
…まだまだ銀の純度によって〇〇シルバーという呼び名はありますが、良く見かけるのは以上だと思います。

その他の名前に”銀”がつく素材

銀と混ぜる金属によって、単純に強度を増すだけではなくて、いろいろな個性を出せるという事がお分かりいただけたと思います。
一方、(楽器では特に)銀ではないのに”銀”のつくものもあります。これは憶えておいた方が良いと思います。

洋銀製

これはフルートのスタンダード(入門)モデルに多いですが、nickel silverの刻印があり、見た目が銀色なだけで銀は全く含まれていません。
銅と亜鉛とニッケルの合金です。

銀は含まれていませんが、この「ニッケル・シルバー」製の楽器は吹きやすく、コントロールしやすいので、あえてニッケル・シルバー製の楽器を使うプロの方も多いです。

白銅

フルートに良く使われる素材です。
銅とニッケルの合金に、通常は銀メッキをかけたものです。
響きやすくグレードの低いフルートに良く使われます。

スタンダード・モデルの加工は?

管価格の抑えられた管体には、白銅の管体に銀メッキ、キィ支柱は洋銀(つまり銅+亜鉛+ニッケルの合金)…という加工(主にフルート)が一般的です。

銀の使われている部分で呼び名が変わるもの

ここまで見て頂いてお分かりいただけたと思いますが、楽器の世界で、「シルバー製」「銀製」と一口にいっても、全てが「完全銀製」ではないのです。
楽器の世界ではここがややこしい所です。私も最初「シルバー製」と書いてあれば、すべて「完全銀製」の楽器だと思っていました。

さて今度は、「銀の使われる部分で呼び方が違う」という切り口で見てみましょう。
「銀っぽい素材を使う」という場合だけでなく、「一部に銀を使う」というケースもあるのです。

楽器は、まず

(1)管体
(2)キィ部分の部品(キィそのものやそれを支える支柱)
(3)楽器の表面に施してあるメッキ

…と大きく分けて3つの個所に分け、いろいろな素材を使います。

総銀製

つまり、(1)管体(2)キィ部の部品(3)メッキの(1)~(3)全てが銀(スターリング・シルバー以上の割合のもの)でできているものが正確には「総銀製/全パーツ銀製」となるのです。

しかし、実際にはメーカーによって呼び方や区別はまちまち(というかアバウト?)です。
「総銀製」をパンフレットで謳(うた)っていても(1)と(2)は銀製で、(3)はラッカーだったりします。

銀メッキ

これはいうまでもなく(3)ラッカー部分が銀素材、というものです。
銀メッキの楽器は、たいていが(1)管体と(2)キィパーツは真鍮製で(3)メッキが銀、という組み合わせです。この「銀メッキ」仕様の楽器を、「総銀製」だと勘違いしている方もかなり多いと思います。

銀製楽器の音の特徴

それでは、楽器で銀素材を使った場合はどんなメリットがあるのでしょうか。
実は銀素材というのは音の響きにかなり大きな影響を与えます。
通常の管楽器は「真鍮/英語でブラス」でできているものが一般的です。
吹奏楽団を「ブラス・バンド」と呼ぶ位ですから。

この一般的な真鍮(ブラス)製の楽器に比べて銀(シルバー)製の楽器は、音が太く、倍音が多くなる傾向にあります。また真鍮(ブラス)製の楽器に比べて、音に表情がつけやすい傾向にあります。

しかも、銀素材は大変強い影響力を持っており、ブラス製の一部に銀パーツを加えただけで、音の違いや吹奏感に違いが出ます。

※こういった影響力の大きい素材としてもう1つ、「上品でさらに大きく豊かな響き」になる傾向が強いのが金(ゴールド)素材です。
銀素材のように金素材もその割合などによって使い方が細かく分かれています。

参考→ゴールドプレートや金素材のサックスや管楽器は何がいいの?素材や音について~24金や18金の違い~

また銀素材は、全てを銀にしなくてもネジ1本というわずかなパーツだけでも、音の個性や吹奏感を変える事ができるので、楽器をお持ちの方はぜひいろいろなパーツを銀素材で試してみる事をおすすめします。

銀色のサックスはどこまで銀製?

今度はサックスに絞って銀素材の使われ方を見ていきましょう。
サックスで一番多い銀加工は「銀メッキ」です。
同じモデルなのに管体が銀色のもの…これは「総銀製」ではなく、「銀メッキ」な場合がほとんどです。

サックスなどではこれを「機種名+シルバー」と表記しているものが多いです。
(例えばヤマハYAS-62Sなど。Sはシルバーの意味)
つまりサックスで「スーパーアクション80シルバー」とあれば「通常の管体(真鍮/ブラスがほとんど)に銀メッキしています」という訳です。

対して、「管体も銀製」のサックスは、例えばヤナギサワのように「S-WO037(総銀製)」と表記する場合が多いです。

※ただし、S-WO037(通常バージョン)の場合「管体は銀製、支柱などパーツは真鍮+ラッカー仕上げ」となっていて、厳密には「管体が銀製」です。
見た目がパッと見変わらない「銀メッキ」と「総銀製」…どう見分けますか??

銀メッキと総銀製の見分け方

銀メッキとの違いは、まず値段です。通常のモデルの倍近い価格ですね。
これが一番わかりやすい見分け方です。
次に管体の刻印です。総銀製、管体が銀製の場合、楽器のどこかに「〇〇silver」などの刻印があります。

ただし、「nickel silver」の刻印は銀ではなく「銅+亜鉛+ニッケル」の合金なので注意が必要です。

  • 管体
  • ネック
  • マウスピース
  • リガチャー
  • ネジ
  • ベル部支柱
  • キィパーツ+キィ支柱
  • ベル

…こういった各パーツをすべて銀にしたものもありますが、必ずしも「総銀製」が一番良い音を奏でるとは限りません。
ネックだけ銀素材にしたり、ベルとネックを銀素材、管体はブラス素材、などなどいろいろな組み合わせをする事で、その吹奏感と音の個性が変わるので素材との組み合わせは無限にあるのです。

黒ずんでくると反応が良くなる?

銀素材のもう1つ大きな特徴は、「酸化して黒くなりやすい」という事です。
これは見た目にはあまり恰好が良いものではなく、アクセサリーでは黒ずんだものは価値が下がったりしますが、楽器の場合は「音の反応が良くなる」傾向にあるようです。

もちろん楽器の世界でも、なるべく黒ずんだ状態にならないよう気を遣う方がほとんどですが、反応をよくする為、あえて黒ずんだ状態を保つ方も多いです。

まとめ

いかがでしょうか。
楽器の世界では特に「シルバー製」という表現は使っても、いろいろな素材がいろいろな形でつかわれていて良く分からないまま…という事が多いです。
しかも「ニッケル・シルバー」のように全くシルバーと関係ないものもあるのです。

メーカーでさえあいまいな表現のまま「スターリング・シルバー」や「ソリッド・シルバー」という呼び方を使ったりするので、注意が必要です。

とにかく楽器の場合、貴金属としての価値より音がすべてですので、ぜひ一度は実際に吹いてみて「銀らしい音」を体験してみてください!


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