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ヤマハサックスの カスタムモデルの歴史と初代の魅力【875、875EX、82Zのマイナー・チェンジ年表あり】

│ 2018年10月18日 │ カテゴリー: サックスのブランドシリーズ 中古サックスの魅力

ヤマハ カスタムの魅力

※2020年6月-カスタムのマイナーチェンジ年表中、特にテナー編に大幅に加筆・修正を加えました。

※2020年8月-カスタムのマイナーチェンジ年表中、YTSー82ZのG1ネック変更時期を修正しました。

 

今回はヤマハ・サックスの最上位機種「カスタム」シリーズについて解説したいと思います。

カスタムはもちろんプロ・モデルですが、実は一番最初のヤマハ・サックスのプロモデルは「62」シリーズだったのをご存じでしょうか?

カスタム・シリーズが現在のラインナップに至るまでには、初代62にはじまり試作機のような位置づけの機種も存在していたりして、その歴史を知るとなかなか奥深いんです。

記事を読み終えた後アナタは、きっと楽器店の中古サックス・コーナーに行った時に、

「この875は初代だ!」とか
「855だ!めっちゃ珍しい!」
「この82Zは二世代目だな」

など見分けがつくようになります^^

ヤマハ・サックスは、よく「個性がない」と言われてしまいます。

品質クオリティが高く、生産工程に関してサックス・ブランドの中ではもっともオートメーション化が進んでいるゆえのデメリットですが、そんなヤマハ・サックスも、いろいろな試行錯誤があって現行のラインナップにつながっています。

ヤマハ・サックスの試行錯誤の歴史をなんとなく知るだけで実はそれぞれの機種に個性がある事が見えてきます。

この記事を通して初代カスタムを探し出す楽しみにつながったりして頂けると嬉しいです。

 

<突然ですが、ここで当店の在庫情報です>——–

現在販売しているヤマハの中古サックスは以下のショップでご確認ください。

ヤフオク! (ヤフーオークション)

目次

現行のカスタム・モデル

現行のヤマハ・サックスには「カスタム」というグレードがあります。

これはいわゆる「プロ・モデル」ですが、現在のヤマハのカスタムには

875・875EX・82Z

の3種類があります。

これはアルトサックス、テナーサックス、ソプラノサックス共通です。

※バリトンだけラインナップが違います。

バリトンの現行機種はYBS-41Ⅱ、YBS-62Ⅱとなります。

アルトはYAS、テナーはYTS、ソプラノはYSS(バリトンはYBS)でそれぞれのモデル名が付きます。

つまり、「YAS-82Z」だと、アルトサックスの82Zという意味です。

そもそもヤマハ・サックスはどんな機種に分かれてる?

ヤマハのサックスは他のメーカーに比べ、グレードが細かく分かれていますよね。

カタログを見ると280とか380とか480とか…そして急に62モデルとか875とか…
型番みたいな機種名で良く分からないですよね。

実は、ヤマハのサックスは大きく分けて

  • エントリー・モデル(廉価モデル)
  • 中堅モデル
  • 62モデル

そしてカスタム・モデルと分かれているんです。

エントリー・モデルと中堅モデル

エントリー・モデルというのは、誰でも比較的サックスを始めやすいように、という狙いで作られていて、サックスの中では価格が安いのが特徴です。
(といってもアルト・サックスで10万くらいはしますが)

良く入門機と言われるので誤解が多いですが、安いから使えない訳ではなく現在のヤマハはこのエントリーモデル(280や380)でも充分にライブ演奏で使えるクオリティです。

ヤマハYAS-280は新品で10万前後で手に入れられますが、10万前後で手に入る他メーカーのサックスに比べて圧倒的に音程が安定していますし、操作性もとても良いです。

あまり使い込んでいるとキィのバネがへたってくる感じは無きにしもあらずですが、それでも他メーカーの同価格帯サックスよりは断然コスパに優れています。

現在では、コストを抑えた入門モデルの280,380といった「エントリー・モデル」(以上2タイプ)そして上位機種のネックを換装できる480という中堅モデル(1タイプのみ)がラインナップされています。

ヤマハは2~3年という期間でマイナーチェンジ・改良を加えていきますが、このエントリー・モデルはその度に型番が変わるのが通例です。

例えば、280,380,480の前には275,375,475というモデルがありました。

参照:ヤマハの過去モデル名については、こちらの記事にほぼ全て載せています。→『YAMAHA サックス買取』

62モデル

ヤマハ・サックスの歴史にあまり詳しくないと、カタログを見た時、「エントリー・モデルやカスタム・モデルというのは分かるけど、62モデル…ってどういう位置づけ??」となると思います。

62モデルとは、ヤマハのサックスの中で実は一番歴史が長く、ロングセラー・モデルなんです。

ニッカンという管楽器メーカーを吸収合併してからサックスを作り始めたヤマハは、サックス部門創業当初、ニッカンのサックスをそのまま型番を換えて生産していました。

そんな中、純粋なヤマハ・サックスとして開発された純ヤマハ・サックス第一号が「YAS-61」です。(アルトが第一号)

そしてこれをさらに発展させて、プロモデルとして開発されたのがYAS-62,YTS-62でした。

この「62」は、当時のクラシック・サックス界の名手ユージン・ルソー氏を開発スタッフに加え、ルソー氏の意見を取り入れて作られました。

海外の有名なプレイヤーをテスターとして国内に連れてくる、というのはこのヤマハ62が初めてだったのです。

こうしてヤマハはサックスを作り始めてからずっと、62モデルをプロモデルとして製造していました。

(ソプラノ・サックスに関しては62モデル(YSS-62)から現在は675モデルに変更されています。

YSS-675はアルトやテナーの62モデルに相当するグレードです。

ちなみにYSS-62のカーブド・ソプラノYSS-62Rは、70年代のマイルス・デイヴィス・バンドで重要な役割を果たしたサックス・プレイヤー、ウェイン・ショーターが愛用していた事もあり、生産されていない現在でもビンテージとして根強い人気があります。

カスタム・モデルのYSS-82ZとYSS-82ZRは、このYSS-62の人気を受けて62の復刻+発展型として生まれたモデルです。

カスタムの登場

1980年に入ると、ヤマハとヤナギサワはサックス・ブランドとしての地位を確立していきます。

セルマーをおびやかすくらいに海外でも売れ始めると、プロ・モデルが62だけでは不充分になっていきます。

そして1988年に「海外でもプロ・モデルとして使用されるようなサックス」の開発を目指して、ヤマハはそれまでのプロ・モデルである62を超えるサックスを世に出します。

これが「ヤマハ・カスタム」です。

この当時、カスタムとして販売されたのは「855」と「875」というモデルでした。

62の発展型=855と新機軸=875

カスタム・モデル開発の過程で、62の改良型として完成したのが855,そして855開発段階で全く新しい管形状として生まれたのが875でした。

62の良さを発展させて、世界のプロも使用する事を想定したモデルが855です。

そして875は当初クラシックでのプロ演奏を想定したモデルで、大ホールで、遠くまで豊かに響く管体を目指して開発されました。

そして855も875もどちらもネックは同じ「M1ネック」というものでした。

 

1990年のマイナーチェンジで855は生産中止となってしまい、875は継続して生産されますが、ネックはG1ネックに変更されました。

そして、855が生産終了となった代わりに875EXが新たに販売されます。

875EXの誕生

 

この875EXは、875をより吹きやすくしたモデルとして開発されたものでした。

875から875EXが生まれた経緯は、過去に記事にしているので、下記を参考にしてください。

参照:yamaha ヤマハ YAS-875 全国より高価買取致します!【YAS-875と875EXの違い】
参照:”幻のカスタム”YAMAHA YAS855買取りさせて頂きました★

こうしてヤマハ・カスタムは875と875EXの2つのランナップになります。

そして2003年、全くの新機軸として82Zが生まれます。

875EXと82Zの違いを簡単に言うと、クラシックで必要とされる「遠鳴り・豊かな響き」に特化させた875,875EXに対して「ジャズ、ポップス向けのプロモデル」として開発されたのが82Zです。

これは「音程は正確だけど音に個性がない」と言われるヤマハ・サックスとしてはかなり異色なモデルの誕生となりました。

余談ですが…875EXは今までのヤマハ・サックスの集大成つまり「優等生なサックス」というイメージが定着していて、どうも82Zの方が国内では圧倒的に人気が高いようですが、個人的には、実際に両方をある程度吹いてみると82Zよりも875EXのほうが好みだったりします。

82Zに比べると875EXは適度な抵抗感があって音が定まりやすいと感じます。

875EXはクラシック向きと言われますが、(ヤマハ自身がそういうプロモーションを展開しているせいもあります)私はジャズやポップスにも向いていると思っています。

現にマーカス・ミラー・バンドのAlex Hanも875EXを使ってモダン・ジャズやファンクを演っています。

82Zの特色については、過去記事の以下を参照してください。

参照:ヤマハサックスの特徴:番外編~「音ヌケ査定」に有利?”異色”のYAS-82Z

ここまで初代カスタムから現行カスタムまでを誕生順に追ってみました。

カスタムにはもう1つ、ユーザー目線ではわかりにくい点があります。

それは…「機種名を変えずにマイナーチェンジする事」です。

エントリーモデルはこの点、マイナーチェンジすると名前も変わるのでわかりやすいのですが、(例えば275→280など)62とカスタムは大幅なマイナーチェンジをしても名前が変わりません。
(セルマーは機種名を変えずにマイナーチェンジをする頻度がもっとすごいですが…笑)

例えば現行の82Zは2015年以前の82Zになかったメタル・レゾネーター仕様になっていて、しかもネックも別物になっています。

これを「82Zマーク2」などとしてくれれば良いのですが、そのまま「82Z」の名称のままです。

このあたりの変更はなかなかまとまって情報になっていないので、ここでできる限り年表にしたいと思います。

ヤマハ・カスタムのマイナーチェンジ年表

ヤマハ・カスタムのマイナーチェンジ年表~アルト編

以上カスタムの変遷を年代ごとにわかりやすく並べます。(アルトの年表には、ヤマハの変遷時期の参考になるように主な他モデルの発売時期も掲載しています。”YAS-“という名前がつかないモデルはアルトではないので注意してください。)

1978年 プロ・モデルとして62モデル( YAS-62,YSS-62)誕生

(61から発展させ、初のコンピューター設計とユージン・ルソー氏のアドバイスを取り入れ開発された。)

1979年 (YTS-62発売)
1984年 (YBS-62発売)

<→62モデル・マイナーチェンジの歴史はこちらの動画を参考にしてください『歴代62の見分けかた』>

1988年 初代カスタム誕生 YAS-855 YAS-875(ともにM1カスタムネック)

※この時期、旧G1カスタムネックを装備したYAS-62Ⅱの限定生産バージョン(YAS-62C/YAS-62Ci)も発売されました。(62IICは彫刻なし+旧G1ネックしたモデル、62IICiは彫刻あり+旧G1ネック+キィ部バネの品質をグレードアップしたモデル。)

1990年 YAS-855の生産終了。

YAS-875がG1ネックにマイナーチェンジ(第二世代)。

2002年 YAS-875EX誕生(G1ネック)
2003年 YAS-82Z誕生。(G1ネック)
2013年 ※2013年8月カタログ掲載分より以下のマイナーチェンジ搭載。

YAS-82Zマイナーチェンジ(第二世代/公称ではカウントされていません。)

2013年の8月くらいまでは、「可動式ではないFフロントキー+ベル2枚取り」モデルが製造・流通していました。

ここでの変更点

・フロントFキィを可動式に変更
・ベル部成形が2枚の真鍮張り合わせから1枚取りに変更。

2015年 ※2015年7月カタログ掲載分より以下のマイナーチェンジ搭載。

YAS-875EX(第二世代) YAS-875 マイナーチェンジ(第三世代)

第二世代875EX,第三世代875の変更点

・フロントFの新キィシステム(可動式Fフロントシステム自体は、855,875,875EXの1世代目より搭載)
・パームキィ、サイドキィの形状(高さ、角度)
・トーンホールの大きさ、トーンホール位置などのネック除く管体設計全体見直し
・彫刻デザインの変更
・付属マウスピースのマイナーチェンジ
・U字管部の「音響焼鈍」加工(人工的な音ヌケ加工)

YAS-82Zマイナーチェンジ(第三世代/一般的には第二世代と呼ばれます)

・875,875EXと同じフロントFの新キィシステム採用
・彫刻デザインの変更
・メタルレゾネーター採用
・低音キィに新機構
・新V1ネック採用(以前はG1ネック)
・サムレスト部の軽量化

カスタムのマイナーチェンジ年表~テナー編

 

1990年 YTS-875発売
テナーの875はアルトの875第二世代より誕生しました。(初代YTS-875は旧M1ネック装備)
2003年 YTS-82Z(第一世代)発売 E1ネック。ベル部2枚取り・フロントFキィの調節機構なし。

YTS-875(第二世代)発売 旧M1ネックからG1ネックに変更

2005年 YTS-875EX(第一世代)発売 (G3ネック)

YTSー82Z (第二世代)

・ネックがE1ネックからG1ネックに変更

※この時期からベル2枚取りから1枚取りに変更?

2013年 ※2013年8月カタログ掲載分より以下のマイナーチェンジ搭載。

YTS-875EXマイナーチェンジ(第二世代)

第二世代変更点

・G3ネックからE1ネックに変更。
・Low B-C#キイの連結部分に新パーツ採用。

YTS-875マイナーチェンジ(第三世代)

第三世代変更点

・ネックがE1ネックからG1ネックに変更
・オクターブキィ機構の改良
・テーブルキィのシーソー部分の形状を変更
・先の尖ったネジ(ピボットスクリュー)採用。

YTS-82Zマイナーチェンジ(第三世代/一般的には第二世代と呼ばれます)

・Low B-C#キイの連結部分に新パーツ採用。
・ベル1枚取り
・フロントFキーを他カスタム・モデルと同じ可動式に変更。

2015年 各モデルの変更点は基本、アルト・サックスの「2015年時点マイナーチェンジ」と同じ。

※YTS-875はG1ネックからV1ネックに変更。

2018年 YTS-82ZASP発売(C1ネック)

カスタムのマイナーチェンジ年表~ソプラノ編

 

 

1990年 YSS-875(第一世代・第二世代)発売

※発売当初は初期M1とM1Rネック(初代カスタムのエンブレム・デザイン)
→まもなく後期M1ネック(ヤマハのエンブレムが現在のG1ネックと同じデザイン)にマイナーチェンジ。

※875と875EXはネックが選べるデタッチャブル・モデル。875は現在製造されていません。

2005年 YSS-875EX 発売(ネックはG2とG2R)
2008年 YSS-875EXHG 発売(ハイGキィ付きモデルのこと。ネックはG2とG2R)
2011年 YSS-82Z 発売

※82Zと82Z/82ZRはネック一体モデル。(YSS-62/62Rの復刻+改良機)

2015年 YSS-82Z/82ZR(第二世代)

テーパーの形状とトーンホールの位置、大きさを新設計。専用パーツもほとんど新設計。

カスタムのマイナーチェンジ年表~バリトン編

※現在は62モデルまでのラインナップ。カスタムはまだありません。

まとめ

ヤマハの初代カスタム、そしてカスタムの歴史いかがだったでしょうか。

後にも先にもこれっきりの「カスタム・エンブレム」がデザインされた「旧M1ネック」は、マニア心をくすぐるマイナー・テイストにあふれるモデルですよね。

特に855は82Zと並んで、あまり個性がないと言われるヤマハ・サックスの中で異色の音個性を持っています。

人によっては、855は現行カスタムより音がペラい、と言われたりしますが、それを補って余りある音の色気とコントロール性を備えた魅力的なモデルだと思っています。

875も、ここでご紹介したような「シルバー・プレート」モデルなんかもあったりして、なかなか奥が深いです。

ピッチの問題やクセなど、クラシックなど厳しい水準で音の正確さが求められる現場では、もちろん現行モデルを選ぶのがベストですが、ジャズやポップスなど音の個性や味が活きるジャンルでは、今でも十分使えるモデルです。

また、現行モデルでは出せない個性を持っていたりします。

そして今回あまり触れませんでしたが、この「初代カスタムG1ネック」を装備した62Ⅱも、かなりレアですが興味深いです。

YSS-875の初代M1ネックも、前期だけの装備なのでなかなかのレア度です。

ぜひ、今後はヤマハの中古サックスが置いてあるお店を見つけたら、この初代カスタムネック・モデルがないか注意して探してみてください。

関連動画:ヤマハ ・カスタムの歴史 マイナーチェンジと見分け方

カスタムの歴史とマイナーチェンジについて解説しています。

関連動画:歴代62シリーズの見分け方

こちらの動画では、ヤマハの大定番モデル62シリーズの見分け方について解説しています。


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