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サックス馬鹿ブログ

AdolpheSax アドルフサックスなどいろいろ… アルトサックス調整の為 パンパイプさんにお邪魔しました。

アトリエ・パンパイプさんで幻のサックス「AdolpheSax/アドルフサックス」を見せてもらいました!

今回は当店(サックス買取ラボふくおか)在庫のセルマー スーパーアクション80 シリーズ2の中から、ジュビリー前モデルの2本を調整に出すことにしました。

その際、とても貴重なサックス達を見せて頂きました。

アドルフサックス アルト

<↑サキソフォンの元祖「AdolpheSax/アドルフ・サックス」社のアルト・サックス>

【アトリエ・パンパイプさんに伺いました】

今回の調整は、福岡県飯塚市にお店を構えるサックス修理工房「アトリエ・パンパイプ」さんです。(パンパイプさんのホームページはこちらです→『アトリエ・パンパイプ』福岡県飯塚市)サックス買取ラボでは、修理と調整が必要な場合こちらのアトリエ・パンパイプさんにお願いするようにしています。
「アトリエ・パンパイプ」店主の江頭(えとう)さんは福岡のサックスリペア(修理)業界では有名な方です。パンパイプさんに関しては書きたい事が沢山あるのですが笑 私が長年個人的に信頼している石森楽器さん(東京都新宿区百人町・石森楽器さんのホームページはこちらです→『石森楽器の歴史』)から独立され、福岡県の飯塚市で長年開業されている管楽器修理工房です。
江頭さんは、オールドサックスやビンテージ・サックスの復元・修理を数多く手がけていらっしゃいます。特に驚くのが「Adolphe SAX/アドルフ・サックス」をバリトンからソプラノまで修理し、使える状態で所有されている事です!

【サックスの元祖 Adolphe Sax/アドルフ・サックス】

「Adolphe SAX/アドルフ・サックス」とは、その名の通りサックスの元祖メーカーです。アドルフ・サックスさんという方が1840年代に「サキソフォン」を発明し、自分の工房で販売・製造を始めたのがサキソフォンの歴史の始まりなんです。
(サックスの歴史→野中貿易「セルマーの歴史」参照)
現在、サキソフォン(これを通称サックスと呼んでいます)の世界はセルマーのサックスが最高ブランドとして認識されているので、サキソフォンの元祖がセルマーだと思っていらっしゃる方も多いと思います。実はこの「アドルフ・サックス」が元祖なのです。
そして、上記の野中貿易さんのホームページから分かるように、最終的にはセルマー社がアドルフ・サックス社を買収して今日に至ります。
この「アドルフ・サックス」は大変希少で、江頭さんも仰っていましたがなかなかオークションにも出てきません。e-bayですらほとんど出品されません。ましてや、きちんと使える状態となると本当に珍しいんではないでしょうか。(江頭さんリペア・所有のアドルフ・サックスについて詳しくは→アトリエ・パンパイプ「WIND」ページで見る事ができます)

この江頭さん修理・所有のアドルフ・サックス達は、実際にサックス4重奏に貸し出される事もあり、その時の様子をNHKが取材に来た事もあるそうです。

 

そしてこの貴重なアドルフ・サックスのアルト・サックスをなんと実際に吹かせて頂けました!
江頭さんのお話によると、かの渡辺貞夫さんが吹かれた楽器だそうで若干緊張します笑

【実際にアドルフ・サックスを吹いてみた感想】

adolphesax アドルフ・サックス アルトサックス1

<↑居眠りしているわけではありません笑 アドルフ・サックスの音色を味わいながら試奏している所です笑 そして後ろ左上や右手の棚の中には、なんと”木製フルート”の姿も!ここにある管楽器はすべて江頭さんの手によってリペア・復元されたものです。>

実際に吹いてみると、管体の素材のせいか、「とても美しく響き渡るやわらかい音色」です。音が部屋に拡がっていく感じというか…セルマー・バランスドアクション以降のサックスと違って、やはり「室内管弦楽」にふさわしいような音色。クラシックがふさわしいと思える音色ですが、クランポンのような硬さはありません。ただし現代的なフレーズや吹き方(フュージョンやR&B的)をしてもちゃんとそれっぽい音で鳴ってくれます!運指も全く問題なく、違和感がありません(操作性に関しては江頭さんのカスタマイズの賜物だと思いますが)むしろこのアドルフサックスより後年に製造されたconn/コーンの方が運指が難しいくらいです。

adolphesax アドルフ・サックス アルトサックス2

<↑↓吹かせて頂いたAdolpheSaxアドルフ・サックスのアルト。ベル部の刻印と”AdolpheSax”のフォントが優美さを醸し出しています…>

adolphesax アドルフ・サックス アルトサックス3

以前、Buescher/ブッシャー/ビッシャーがマウスピースの組み合わせ次第でこのアドルフサックスに近い音が出る、と聞いた事がありますが、個人的な感想で言えば、Buescherとは全く別物です。この時実際にBuescherの「ビッグB」モデルも吹いてみましたが、このアドルフサックスに比べるとBuescherの方がモコッとした丸い音に感じます。

buescher(ビッシャー/ブッシャー)サックス。無くなってしまった古いブランドではすまされない個性

このアドルフサックスもいろいろな素材のものが存在するようなので、モノによってはまた違う音色なのかもしれませんが。

これは江頭さんに吹いて頂いて「なるほど」と思った事ですが、今のサックスと違って音の指向性が無いんです。つまりどっちの方向を向いて吹いていても、聞こえ方が同じなんです。現代のサックスは、音がしっかりベルから前に飛ぶように出来ているので、ベルの前に立って音を聞いた時と、楽器の側面に立って音を聞いた時とでは音の聞こえ方がはっきりと違います。

基本的な音量は、オールドサックスの例にもれず現代のサックスとは違い大きな音は出ないのですが、とても上品で柔らかく、それがモコモコッとした感じではなく輪郭のある華やかな響き…(もちろん現代サックスのパリッとした音とも全く違います)コーンやビッシャーとはまた全然ちがう「気品と繊細さ」を感じさせるサキソフォンです。ベル部の彫刻も美しく、触っているとぜひ手にいれたくなってしまいます。

 

オークション(特にe-bay)でまれに出品される事があっても、江頭さん曰くほぼ修理が必要な状態らしいので、(100年程前の楽器なので当然です)そこは分かった上で手を出さないと…との事です。

まずこの頃のサックスとなると、修理できる修理屋さんがほとんど居ません…。 Conn/コーンやBuescher/ブッシャー/ビッシャーのような1950年代前後のオールド・サックスでさえ、現代のサキソフォンと部品や機構が違うため修理できるお店は限られます。

そのため、サックス買取ラボふくおかでは、この「アトリエ・パンパイプ/飯塚」さんにサックスの修理・メンテナンスをお願いするようにしています。

江頭さんはご自身の修理工具もご自分で自作されたものを使っていらっしゃいます。そしてオールド・サックスに関しては調整の際、楽器のパーツに手を加える事もあります。この辺りが、まるでアメセルが製造されていた工房の話のようですね。(アメセル=アメリカン・セルマーは、個体によって仕上げの過程でパーツの改造や調整が当たり前だったそうで、現存するアメセルの中にも、管内にプレートが貼り付けてあるもの、キーを改造してるものが多々存在します。)

アルトサックスの次に出してきてくださった、AdolpheSax/アドルフ・サックスのソプラノサックスなんかは、まさに「江頭さんらしさ」が出ています。

adolphesax アドルフ・サックス ソプラノサックス1

<↑アドルフ・サックスのソプラノ・サックス。特にサイドキーの作り・扱いが、現在のサックスと全く違うのがわかります。>

adolphesax アドルフ・サックス ソプラノサックス2

<↑アドルフ・サックスのソプラノサックス、サイドキー部分のアップ。江頭さんによって現在のフィンガリングに対応できるよう改造してあります。>

adolphesax アドルフ・サックス ソプラノサックス3

<↑原型は、アトリエ・パンパイプさんのホームページで見る事が出来ます。サイドキーが完全にボタンのような形で、使用の場面がクラシックの跳躍フレーズしか想定されていなかった事がうかがわれます。>

 

このように、時には無いパーツを1から作られる事もあるそうです。もちろん「その楽器が持つ音」は損なわずに、本来の持ち味を引き出す事に注力されている、とのことです。

この他にも、珍しいサックスをいいろいろと見せて下さいました。例えば…

これはセルマー・マーク6のバリトン・サックス。なぜかほぼ新品状態!です。↓

セルマー マーク6 バリトンサックス

そしてこちらはセルマー・マーク6のソプラニーノ!ソプラノではなくてソプラニーノ!です。↓

セルマー マーク6 ソプラノーサックス1

セルマー マーク6 ソプラノーサックス2

セルマー マーク6 ソプラノーサックス3

また、写真はありませんが、「パッドレス」のサックスも飾ってありました!

今までで一番やっかいだった修理が、なんとあの「Grafton/グラフトン」のプラスチック製サックス!!だそうです。知る人ぞ知るのキワモノ的伝説級サックスは、チャーリーパーカーが吹いた、という事だけで笑  有名なプラスチック製サックスで、1950年頃のものです。

材質のほとんどがプラスチックで劣化が激しい事、当時の製造本数が3000本程度、という事で大変めずらしいサックスです。

このサックスの修理をある方から依頼され、無いパーツや壊れている部分を当時の資料をかき集め、1からプラスチックの成分・配合を勉強し(!)成形技術も習得した上で見事に修復されたそうです…まさに職人さんです!

また他にもまだフルートが木製だった頃のものも多数復元されており、沢山見せてくださいました。この当時の楽器はどうやら貴族だけのたしなみだったようで、「楽器ケース」が、個々の楽器の型取りから(!)作る「特注品」だった事が驚きでした。もちろん、当時の「特注品」のフルートケースも見せて頂きました。

ひと通り珍しいサックスやフルートを見せて頂き、また江頭さん自身が出会った「カスタマイズされたマーク6」達の話を充分に伺ってまるで博物館のようなアトリエ・パンパイプさんを後にしたのでした。

こういった感じで、サックス買取ラボふくおかでは私が信頼できると感じる素晴らしい職人さん方にサックスの調整・修理をお願いしているのです。


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