まぎらわしいASモデル(オメガ直後)と162モデル(オメガ)を画像で比較。セルマー・オメガと呼ばれるモデルについて。その2
<前回の続き>
実際にオメガ82万番台とオメガ直後82万9千番台を比べてみます。
前回の記事ではセルマーUSAの成り立ちからオメガの生まれた背景を解説しました。
オメガは本当に短い期間製造されたモデルで、実物を見た事がないと見分けるのが難しいので、今回は一番紛らわしい『AS/TS初期モデル(オメガ直後)』と『オメガ』を外観から見比べてみる事にします!
繰り返し強調しますが、『オメガ直後』もけっして悪くなく、オメガのキャラクターとは違うのですが、これはこれで魅力的な出音です。
ただし、当店で比較した結果は『オメガ』としてオークションに売りに出せるほどオメガと同じモデルではない、という結論です。
なぜならオメガ(アルトは162テナーは164)とオメガ直後(アルトはAS-100テナーはTS-100)
この2台の最大の違いは「オメガはプロ・モデル、AS-100/TS-100は中堅モデル」だからです。(※2023年現在 この記事掲載後、オメガおよびAS100モデルをさらに何本か試奏・比較した経験とアメリカのネット情報を総合した結果、AS100モデルまでプロ・モデルだったと思われます。ですが資料によるとAS100は実際にはプロに使われることがなかったため、すぐに中堅モデルであるAS110に置き換わったとのことです。詳しくはTASAKISAXのセルマーUSA関連記事を参照ください。)
(AS/TSの中期~現在製造モデルはさらに中堅機から入門機にシフトしています。)
この記事を参考にして頂ければ、オークションなどで「オメガ」と謳われているサックスを見かけた時、オメガかどうか、見分ける事が出来るようになります。
目次
一番の違いは”ロゴ周り彫刻”と”ベルの長さ”
いきなり結論ですがパッと見て分かる外観の違いはこの3点です。
-
- 違い①
ロゴ部の彫刻(※あくまでもロゴ周りの彫刻です。
ここで注意が必要なのですが、”ベル胴体部の彫刻”は両者同じです。)
-
- 違い②
ハイH♯レバーのかたち
-
- 違い③
ベル部の長さ
<↑違い①最大の違いロゴの装飾彫刻(アルトもテナーも同じ模様)。
ロゴ部の彫刻がこの彫刻以外のものはオメガではありません。ちなみにベル部の彫刻はオメガ、オメガ直後どちらもアメセル式彫刻で同じです。
オメガ直後「AS-100」のロゴ周り彫刻は、この前の記事『セルマー・オメガと呼ばれるモデルについて。その①』で確認してください。>
<↑違い②ハイF♯レバーの形が違います。違い③ベル部の長さが違います。
オメガ直後モデル(AS-100)の方が長いです。>※2023年追加:上記画像中に「オメガは8246xxまで」とあります(これが通説になっています)が、その後独自に個体シリアルを検証した結果、オメガは824000番手前までと判明しました。824000以降はAS100です。
以上の違い以外は、この約5000番違いの2台はほぼ同じ外観です。
今度は逆にどれだけ似ているかを見てみましょう。
オメガ/162とオメガ直後/AS-100の同じ箇所
オメガ(162/164)を見分けるのに良く使われる「ネック部ロゴ」ですが、これはAS-1001/TS-100も同じものです。
試しにこの2台でネックを付け替えてみましたが、問題なく装着できましたので、「ネックは同じもの」と言えます。
但しラッカーの色は違います。
<↑オメガの最大の特徴と思われているネック部のデザインそしてネックの角度・つくりも一緒です。>
<↑オメガ/162とオメガ直後/AS-100の底の部分。U字管底部の補強版が独特な形状ですが、これも2台ともに同じです。>
この他のパーツも2台とも全く同じです。
こんなに一緒なのに、やはり出音は違うんです。管楽器って不思議です。
ラッカーのかけ方とベルの長さ、このあたりが出音の違いのポイントなのでしょうか。
まとめ
以上のように、オメガとオメガ直後を見分ける最大の特徴は「ロゴ周りの彫刻」です。
画像で掲載したオメガのロゴ周り彫刻をぜひおぼえておいてください。
セルマーU.S.A自社製サックスでプロ・モデルなのは、後にも先にもこの「オメガ/162,164」そして「オメガ直後/AS-100,TS-100」だけです。
これ以降のAS110は中堅モデル、それ以降は全てエントリー・モデルです。
以上、オメガとオメガ直後モデルの外観上の見分け方でした!
以下の記事をまだお読みでない方はあわせてお読みください。